九州工業大学

BIST手法の研究にCloudTesting™ Serviceを利用

半導体のテスト手法に関する研究で多数の実績を持つ九州工業大学の梶原教授は、2014年に発表した論文「低電力BIST手法におけるキャプチャ電力のTEG評価」に関する実験において、CloudTesting™ Serviceを利用されました。

この研究の内容やCloudTesting™ Serviceのご利用用途について、梶原教授に詳しくお話を伺いました。

研究の要旨

Cloud Testing Service(以下、CTS):まず初めに、この研究の要旨を教えていただけますか?

梶原教授: 近年、ロジックLSIのテストでは、スキャンベースBISTが普及しはじめています。スキャンベースBISTには、故障検出率向上や診断の容易性といったメリットがあるものの、テスト時にLSIが消費する電力が増大するという問題があります。この消費電力増大は、LSIの発熱や、電流増加による電圧変動を生じさせ、遅延の増大を招く可能性があります。遅延の増大は、遅延テストにおける誤テストの原因となります。

そのため、スキャンテスト時の消費電力を削減する方法が、いくつか提案されています。例えば、スキャンイン電力を削減する疑似ローパスフィルタPLPF(Pseudo Low-Pass Filter)を用いた手法、スキャンアウト時の一部のFFの値を書き換えることによってスキャンアウト電力を削減する手法、キャプチャ電力を削減するマルチサイクルテスト手法などです。

しかし、こういった低電力BIST(Low Power BIST)手法については、シミュレーションを使った研究はいくつか行われているものの、実回路を用いて、実際の電圧変動や遅延変動の測定まで行った研究はあまりありません。そこでこの研究では、VDEC(VLSI Design and Education Center)に委託してTEGチップを製作し、CloudTesting™ Service社のCX1000Dとオシロスコープを用いて、実際にTEGチップを動作させて測定を行い、低電力BIST手法の効果を検証しました。

CloudTesting™ Serviceの役割

CTS:この研究において、CloudTesting™ Serviceは、どのような役割を果たしましたか?

梶原教授:CloudTesting™ Service のCX1000Dを、TEGチップを動作させるために使用しました。PC上でTEGチップを動作させるテストパターンを作成し、そのテストパターンを、CloudTesting™ Serviceのロジック機能検証IPを用いて、CX1000DからTEGチップに入力しました。

CloudTesting™ Serviceのテストパターンは、プログラムのように、ループなどを簡単に作成することができるため、柔軟な測定を簡単に実現することができました。テストパターンの作成などのCloudTesting™ Serviceのセットアップは、CX1000ユーザーズ・マニュアルCX1000 パターン・プログラミング・マニュアルを参考にして、研究室の院生が行いました。

研究の成果

CTS:実験から、どのような結果を得ることができましたか?

梶原教授: マルチサイクルテスト手法による、スキャンテスト時の電圧降下の低減効果さらには遅延増加の抑制効果を、実際の測定によって確認することができました。また、シミュレーションと実測結果との比較により、キャプチャトグル率と電圧降下および遅延増加の相関を確認することができました。

CloudTesting™ Serviceの印象

CTS:実際にCloudTesting™ Serviceをご利用してみて、どのような印象をお持ちですか?

梶原教授: まず、パターンを作りやすいのが良かったですね。ひとつのパターンの中で、ループなどを簡単に設定することができるので、パターンの作成がとても楽になりました。

テストプログラムの作成も簡単でした。使い始めた当初、ピン定義を間違えていたため、動くようになるまで少し時間がかかりましたが、ピン定義を直してからは、すぐに測定できるようになりました。

もし、CloudTesting™ Serviceが無かったら

CTS:もしCloudTesting™ Serviceが無かったら、どのように実験を行っていましたか?

梶原教授: この論文では、実際にTEGチップを測定することによって、低電力BIST手法の効果を検証することができました。もしCloudTesting™ Serviceが無かったら、実際に測定を行うことなく、シミュレーションだけで終わっていたと思います。

今後の展開

CTS:この研究成果をふまえて、今後はどのような研究をされるご予定ですか?

梶原教授: 新しく設計したチップが数か月後に出来上がってくるので、そのチップを入手し次第、またCloudTesting™ Serviceの装置を使って、新たな実験を開始する予定です。

また、測定対象チップを恒温槽に入れた状態で、CloudTesting™ Serviceの装置を使ってチップを動かし、測定を行うことも検討しています。チップを恒温槽に入れたまま動作させ、測定までできれば、チップの劣化の観測などいろいろと面白い研究ができると期待しています。


ほとんど前例が無いという実験を行った梶原教授。CloudTesting™ Serviceを、TEGチップを動作させるために使うというアイディアで、この実験を成功させていらっしゃいました。

CloudTesting™ Serviceは、使いたい機能だけを選んでご利用いただくことが可能です。多種多様な測定アルゴリズムや解析ツールをご用意しておりますが、デバイスを動作させるためにCloudTesting™ Serviceを利用し、EBテスタ(Electron Beam Tester)やエミッション顕微鏡(Emission Microscopy)と組み合わせて測定・解析を行うことも可能です。

新しいテスト手法の研究に取り組まれる梶原教授の研究から、今後も目が離せません。


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